天気がすぐれない休日は読書でも‥
という事で、今日は春にぴったりの切なくて優しい小説をご紹介したいと思います。
『ぷくぷく』作者は森沢明夫さん。『きらきら眼鏡』『不思議な岬の物語』など多くの作品が映画化されています。
この「ぷくぷく」は絵本のような優しい語り口でそして、とってもあったかい。
森沢さんの心の綺麗さが窺える作品です。
ぷくぷく1,760円Amazon |
この小説の主人公のユキちゃんはイズミと一緒に暮らしています。
ユキちゃんはイズミが大好き。
でもユキちゃんの声はイズミに届かない…
なぜならユキちゃんは丸い金魚鉢に入った金魚だから。
まさかの金魚目線で語られるストーリーに最初は戸惑いますが、ひたむきにイズミを想うユキちゃんにすぐに感情移入していけます。
ユキちゃんの気持ちも知らず恋人との関係に浮かれたり落ち込んだりするイズミ。
イズミに声を掛けたいのに「ぷく‥。」と泡しか出てこないユキちゃんがとっても切ない‥
トラウマを持ちながらも勇気を出したことで得たイズミの幸せ。
どんな時もずっとイズミを見守り続けたユキに訪れた幸せ。
ラストのハッピーエンドに心がほんわかする素敵な小説でした。
「心って、傷つかないんだって。ただ磨かれるだけ。
磨かれてるときは削られて痛むけど、最後はぴかぴかに光る」
何か辛い事が起こった時に「この痛みは傷じゃない。ヤスリ掛けみたいにハートをぴかぴかに光らせてるんだ。」って思えれば、顔を上げ前を向けるのではないでしょうか。
金魚のユキちゃんの世界はとても狭くて小さいです。
でも、その小さな世界を真っ直ぐに生きるユキちゃんの在り方が、大切なものを思い出させてくれます。
生きていたら、つらい事も悲しい事もいろいろ起こります。
でも、あなたにもユキちゃんのようにそっと見守り応援し続けてくれている存在がいるんだよって、
このお話は伝えてくれているのではないでしょうか。
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