今日は、会社の休業日。
と言う事で、ずっと読みたかった本を読むことができました。
奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫)693円Amazon |
『奇跡の脳ー脳科学者の脳が壊れたとき』
著者は、脳科学者のジル・ボルト・テイラーさん。
この本は、テイラー博士が37歳のときに脳卒中で左脳の機能を失って、そこから8年に及ぶリハビリを経て復活した記録です。
この本、とても面白かったです。
闘病記という悲痛さはなく筆者に何が起こっていたかが冷静に記録されていました。
さすが科学者さんです。
それでいて、親しみやすい文体で書かれているので、文系の私でも興味深く読むことができました。
脳の仕組みがどんなに奇跡的であるかを教えてくれて、改めて、自分の中で正常に働いてくれている脳に感謝できるような本です。
話の序盤、第一線で活躍していた脳の専門家による自分の認知力が壊れていく様子の詳細な描写は、ハラハラし通しでした。
歩くことも読むことも書くこともできなくなり、過去の自分のことも記憶から失われてしまう‥
普通に考えると、彼女がどんなに辛い苦悩の日々を送ったんだろうと思います。
実際、回復までのリハビリ過程は、辛くて長い道のりでした。
でも、左脳の機能を失ったテイラーさんの心の世界は「苦悩の世界」ではありませんでした。
残された右脳の機能が表面に出ることでテイラーさんは、
〈これまでにない幸福感に包まれた〉んだそうです。
自分が溶けて液体となりもう孤独ではなく、淋しくもない。
世界と自分の間の仕切りが消えてしまう。
時間も止まり、今この瞬間が全てになる。
テイラーさんは右脳の世界を「悟り」の境地、ニルヴァーナと呼んでいます。
私たちは誰でも右脳と左脳、2つを融合させた世界を生きています。
生まれた時は優位だった右脳の働きも、
家庭での躾や学校教育、そして常識的に社会で生活するために、
どんどん左脳優位にならざるを得ないのが現状です。
そのため、競争や比較、「私」と「それ以外」という分離の状態が強調されていき、周りと一体だったはずの世界を左脳の思考のおしゃべりにかき消されて感じることができなくなっているんです。
現代社会を生きる上で、左脳を全く使わずに生活する事はできませんが
右脳の世界をもっと生きることができれば、人と争うことなく心穏やかに今を生きれるようになるとこの本は伝えています。
テイラーさんはこう語っています。
左脳が回復するにつれ、自分の感情や環境を、他人や外部の出来事のせいにするほうが自然に思われてきました。
でも、現実には、自分の脳以外には、誰も私に何かを感じさせる力など持っていないことを悟ったのです。
外界のいかなるものも私の心の安らぎを取り去ることはできません。
それは自分次第なのです。
自分の人生に起きることを完全にコントロールすることはできないでしょう。
でも自分の体験をどうとらえるかは、自分で決めることなのです。
本書の終わりの方には、左脳の負の部分を避けて意識的に右脳世界と繋がれるようになれたテイラーさんの「右脳へのアクセス方法」がいろいろと紹介されています。
基本的には自分の感覚を感じきり、そこに集中することで自分の右脳に繋がっていけるとのこと。
やっぱり瞑想もいいらしいですよ。
ぜひ、本書を手に取って、右脳の世界を体験してみて下さい。
※テイラー博士の講演の動画https://youtu.be/BsSWaYITW4g
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